Saidera Mastering Blog

CDマスタリング、DSDレコーディング、ハイレゾ配信&ストリーミング。 サイデラ・マスタリングは、常に最新のテクノロジーとワークフローにより「伝わる音」の技術を提供します。

[]レベルに関して

チーフ・エンジニアの森崎です。

『ミックスでどのぐらいまで音量を入れたら良いですか?』
意外とこのお問い合わせが多いんです。ミックスの段階でレベルを入れすぎてしまい音が固く歪みっぽくなると、マスタリング作業で暖かみ、艶、奥行きなどを出そうと思ってもその手段がありません。アナログ機材を通したりケーブルを選択したりといった、細かなニュアンスを引き出す作業が出来なくなってしまいます。一度レベルが入ってしまっている音源は音量を下げても質感は変わりません。

理想的にはどのぐらいまでレベルを入れると良いのか?
まずは「メーターを見てピークまで振っていないのに音量感があるように感じる」これがベストですね。波形を見てまるで羊羹のように四角くなっていたらレベルの入れ過ぎかコンプ、リミッターのかけ過ぎです。ちょうど魚の骨のように隙間があるぐらいのレベルが良いと思います。
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方法としてはギリギリまでレベルを入れた状態を10とすると、だいたい7か8ぐらいのレベルでミックスを仕上げて頂けば問題ないと思います。ピークメーターは赤がつきっぱなしは良くないですが、たまに点灯するぐらいだったら問題無しです。

また、『製品のレベルまで音量が入らないのですが?』という質問もありますが、そこまで上げてミックスをする必要は全くありません。TDマスター音源のまま何もせずにCDフォーマットにしたい場合のみ、ミックスの時の音量が出来上がりのCDの音量になりますので、レベルを入れて作業する必要があります。

ミックス段階で大切なのは音量ではなくバランス。アンプのボリュームを上げてみてかっこ良く聴こえれば大丈夫です。

音量を上げる作業はマスタリングでの腕の見せ所です。歪まずにサウンドを大きくするノウハウは沢山ありますので、ぜひお任せください。