Saidera Mastering Blog

CDマスタリング、DSDレコーディング、ハイレゾ配信&ストリーミング。 サイデラ・マスタリングは、常に最新のテクノロジーとワークフローにより「伝わる音」の技術を提供します。

[]サンプリング周波数とは(その1)「DASH機器」

チーフ・エンジニアの森崎です。
これからシリーズでサンプリング周波数、同期について分かりやすく説明して行きます。
デジタルオーディオ機器では記録再生される音楽信号は全てデジタルデータとして扱われます。記録時にはサンプリング周波数周期でアナログ信号だった音楽信号がデジタル信号に変換され、再生時には記録されたデジタル信号がサンプリング周波数周期でアナログ信号に戻されます。

最近のレコーディングはDAW全盛の時代ですが、デジタルテープレコーダー(※DASH機器)のサンプリング周波数とテープの速度についてお話しします。そのほうがイメージがわかりやすいと思いますので。

↓↓↓SONY PCM-3348
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それではサンプリング周波数が44.1kHzと48kHzについて考えてみます。サンプリング周波数が44.1kHzということは1秒間に44100個のデータをサンプリングして、テープに記録する必要があります。一方サンプリング周波数が48kHzの時は同様に48000個のデータを記録しなければいけません。

当然48kHzのほうが記録しなければいけないデータの数(量)が多いです。もし同じテープ速度で記録すると、テープの同じ面積に記録するデータの数を比べると、48kHzの方が多く、記録密度が高くなってしまいます。

●44.1kHzの時は1秒間に44100個のデータをサンプリングしてテープに記録。
●48kHzの時は 1秒間に48000個のデータをサンプリングしてテープに記録。
したがって、48kHzの方が1秒間にテープに記録するデータ量は多い。

そこでDASHではサンプリング周波数が異なっても記録密度が同じになるように、サンプリング周波数に合わせてテープの速度を変化させ、その結果常に記録密度が一定になるというわけです。

(注)DASHフォーマット=世界的規模での互換性を実現すべく、広く世界に提案された固定ヘッドによる業務用デジタルオーディオテープレコーダーフォーマット。1/4インチ・2チャンネルから1/2インチ・48チャンネルまで規格が網羅されています。

僕が音響ハウスでアシスタントをしていた頃、レコーダーといえばSONY PCM-3348でした。こちらも上に書いたDASHフォーマットの代表機器です。新人の頃、まず最初にする仕事はテープのフォーマット(プリストライプ)でした。新品テープのままではデータを記録することが出来ない(音を録音することが出来ない)のでそのための下準備をする作業です。

先輩から「44.1kHzを2本と、48kHzを3本ね」とテープを渡されるのですが、どうして44.1kHzの方が記録時間が長いのか?分からず質問したり書籍で調べたりして、ようやくこの事実に気がついた時は一人で感動した思い出があります。

それでは次回はテープのフォーマットとは?についてお話ししたいと思います。