[]音響芸術専門学校2010(その2)

チーフ・エンジニアの森崎です。

ここ5年ほど、母校の音響芸術専門学校でこの時期にはマスタリングの授業を受け持っています。まず最初に何を教えるか?そして、内容はマスタリングというより、音楽制作現場でのエンジニアの心得というもの。また、音楽を「楽しむ立場」と「作る立場」の違い。クリティカル・リスニングのためにスピーカーとモニタースピーカーの使い方などです。

最初に『みなさんは、普段どんな環境で音楽を聴いていますか?』と質問します。ここ数年『iPodで 聴いています』という若者が大多数をしめていました。ところが驚くことに、今年の生徒たちの半数以上が『ミニコンポ、HIFIオーディオシステムで聴いてます』という返事が返ってきたのです。『何か質問ありますか?』と聞くと『スピーカーケーブルを変えようと思っているのですが、おすすめはありますか?』『ハンダの種類で音が違うと聞きましたが、先生はどのブランドのものを使っていますか?』『キャノンケーブルの作り方を教えてください!』この数年、オーディオに興味ある生徒はほとんど居なかったのに、この類いの質問が返ってくるとは!!まるで自分が学生だった頃のようです。今年の生徒たちの多くが、「自分の音楽環境を少しでも良くしたい」と思っているのです。

「作品の視聴は、サラウンドを学ぶ上で最も重要な作業の一つである。その際に、視聴環境が良好であればあるほど、より多くのことを学ぶことができる。」これは「Surround Sound Handbook /サラウンド入門」 での中原さんの格言です。当たり前ですが、サラウンドでなくともリスニング環境を整えることにより、それまで気づかなかった音楽の情報まで、簡単に、見えるように聴きとれます。

僕が学生時代のクラスに、真空管アンプを100台作っている友人がいました。隣のクラスにも真空管アンプを作っている仲間を見つけて、毎日少しでも音が良くなるよう、実験を繰り返しました。授業が終わると秋葉原を回ってパーツを探し、休日は石材店を探してはスピーカースタンドになりそうなものを購入して試しました。失敗することも沢山あります。その経験こそが現在の仕事で役立っているのです。

生徒たちも「音の違いが分かった時の楽しさ」「工夫でどんどん音が良くなっていく楽しみ」を実感してもらえました。今後の成長がとても楽しみですね。