Saidera Mastering Blog

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[]EQの使いこなし(シェルビングEQ)

チーフ・エンジニアの森崎です。

前回のEQの使いこなし(基礎編)ではグラフィック・イコライザーを用いて、それぞれの周波数帯域の特徴を確認しました。本日はパラメトリックイコライザーシェルビングEQの実践的な使用方法です。

EQはピーキングEQやフィルターはよく使うがシェルビングEQはカーブの使いこなしが難しいというコメントを耳にします。しかしポイントを理解すれば誰でも簡単に使いこなすことができます。

パラメトリックイコライザーには2種類の使い方があります。一つはざっくりと帯域の補正。こちらは主にシェルビング・カーブやフィルターをを使用します。もう一つはピークカーブを駆使しての細かなバランス調整です。

「帯域の補正」
まず音源をじっくり聴いてみましょう。低域、中域、高域の3つのパートに分けて聴くことがポイイントです。(1)〜250Hz (2)250Hz〜4kHz (3)4kHz〜だいたいこの辺りの周波数に注目してみてください。

※低域と高域にはシェルビングEQ、中域はQの緩いパラメトリックイコライザーを使用します。

「低域」
もし低域が多いかな、と思ったらシェルビングカーブで250Hz以下を少しカットしてください。逆に低域に厚みが欲しいと思ったらブーストします。レベルは1dB以内でも十分効果がありますが、最初は大きめに動かし音の変化を確認して徐々に細かく調整してください。

「中域」
ロックなどでギターの厚みが欲しいときは250Hz〜4kHzをアップします。中域(250Hz〜1kHz)→ボリューム感、中高域(1kHz〜4kHz)→高域の厚み。音の芯が出るので周波数、Qの幅がポイントとなります。

「高域」
ハットやシンバルがが少しうるさいかな、と思ったら4kHz〜からシェルビングでカットします。

<ポイント>
低域と高域のシェルビングEQは周波数が中域よりになるほどヴォーカルなどに影響します。オケのニュアンスを変えたくない場合は例えば100Hz〜、10kHz〜など低め、高めの周波数にシェルビングEQのスタートポイントを設定してください。

感覚はプリメイン・アンプのトーン・コントロールのようです。シェルビングEQでバランスを補正すればコンプのかかり方もより自然になります。低域が多すぎてコンプの動きに影響してしまう時などにも効果がありますのでぜひ試してください。


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