[]モニターの特徴が仕上がりを左右する
チーフ・エンジニアの森崎です。
重要!「モニタースピーカのサウンドの特徴」がTDの仕上がりを左右する例です。
ProAcのスピーカーはレンジが広くバランスの良いスピーカーです。ボーカルも程よくオケになじんで聴こえます。それに対しNS-10Mは、決してHiFiではなくどちらかというと派手でヴォーカルが大きく聴こえるスピーカーです。彼はなぜNS-10Mに戻したのでしょう?答えは「クライアントさんが、歌を大きくして欲しい、というリクエストが多く、ProAcでミックスするとオケとのバランスが崩れるほどに歌を大ききめにしないと満足してもらえない。NS-10Mで作業していれば聴感上のヴォーカルレベルは大きく聴こえるから。」という事でした。歌のレンジが大きく聴こえるというNS-10Mの特徴を理解してミックスしているので、ボーカル音量はバランスよく録音され問題ないようです。ただし!低音の質感などは慣れる必要がありますね。
僕はマスタリングを始めたばかりの頃、こんな体験をしたことがあります。僕はメガネをかけています。困ったことにメガネの種類によって、レンズの大きさや形によって音の反射が異なり、スピーカーから聴こえる音質が異なるのです。マスタリング後のサウンドがなぜか地味に聴こえたことがありました。機材やケーブルはチェックしても問題なかった。色々、原因を調べました。なんと実際の音色よりも派手に聴こえるメガネだったのです。そのメガネをかけてマスタリングした音を、別のメガネに替えて聴くと地味に聴こえていたのです。そんな重大なことに気がついたきっかけはヘッドフォンでした。スピーカーで聴くと派手なのにヘッドフォンで聴くと地味に聴こえたのです。ヘッドフォンの音はメガネの影響を受けません!まさかこんな身近に原因があったと知った時はビックリ?!しました。これを教訓に、メガネの選定にはファションではなく「裸眼と近い聴こえ方をするもの」を厳選しています。
マスタリング・エンジニアの中には仕事の時は襟付きのシャツやハイネックを着ない方もいます。最高の仕上げをするためには体調なども含め身の回りから自分のリファレンスを作る必要がありますね。もっと重要なのは、体調管理。そして常に平常心。すばらしいミックスに感動しても、常に客観的に。みなさまとの立ち会いマスタリングをいつも楽しみにしています!
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