[]ドンシャリ音源の処方箋「周波数帯域のバランスを整える」

チーフ・エンジニアの森崎です。

まれに、TD音源がドンシャリにあがっていることがあります。ローエンドとハイエンドの伸び過ぎで音の芯がない為ヴォリュームを上げても音圧感が出ない。TDをスモールスピーカーのみで行っていたか、あるいはモニターが「かまぼこ」だった可能性が考えられます。本日はそんな時のマスタリング、ドンシャリの処方箋。

まずはローエンドを抑えることから。マルチバンドコンプ(の場合はコンプはかけない、レベルコントロールのみ)などの帯域分割で100Hz前後から1dB〜2dB下げて聴いてみます。キックのアタック感が出なければさらに30Hz辺りからローカットフィルターで緩やかにカットします。

次に高域のチェックです。シャカシャカしやすい楽器はハイハット、シンバル、シェーカー、タンバリンなど。まずこれらの楽器が出過ぎないようにオケに馴染ませます。マルチバンドで4kHz辺りから少しカットします。音質が変わるようなら8kHz、10kHzと周波数を上げていきます。低い周波数からカットした方が輪郭のある音を作ることが出来ます。

100Hz〜10kHzはフラットで、それ以上、それ以下の周波数は緩やかなカーブでロールオフするようなバランスを整えると、一つ一つの楽器がしっかり聴こえ良いバランスに仕上げる事が出来ます。レンジのバランスを整えたら次に個々の楽器の音作りです。

どのようなシステムでもバランス良く聴かせるにはセンター成分の楽器、キック、スネア、ヴォーカル、ベースをどう聴かせるかがポイントです。僕は一番最初にヴォーカルの質感を決めます。EQポイントは声質によって様々ですが、声のエッジを出すのは1kHz〜1.5kHzをプラスします。1kHzが一番輪郭がはっきりしますが声が硬く聴こえる時は少し周波数を上げます。1kHz、1.1kHz、1.2kHz、1.3kHz、1.4kHz、1.5kHzと周波数を変えながらオケとのバランスを聴きます。周波数を上げていくと声が柔らかく聴こえる瞬間があります。そこから少し下げたところがスイートスポットです。このポイントが見つかれば他の帯域をEQしても声質が変わらず存在感のあるヴォーカルを表現出来ます。

キックは120Hz〜180Hzをプラス、スネアの抜けは6kHzをプラス、ベースは60Hz前後をカットしてキックとのかぶりを調整し抜けを良くします。マルチバンド、ローカット/ハイカット・フィルターでバランスを整えると少ないEQで音作りが出来ます。マスタリングの作業は個々の楽器の音作りに注目しがちですが最初のバランス調整が最も大切な作業です。そのためには周波数レンジを的確に判断出来るモニタースピーカーが必要です。スモールモニターだけではバランスが分かり難ければヘッドフォン、ラジカセ、PCのスピーカーなど色々な環境でチェックしてみて下さい。


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