[]ミックスマスターのレベル(その4)「マスタリングで音量を大きく仕上げたいときに気をつけるべき6つのポイント」

チーフ・エンジニアの森崎です。

ミックスマスターの音量により、メリットとデメリットがあります。マスタリングで音量の大きな仕上がりを求めるなら、ミキシングでは、以下の点に気をつけましょう。

1. ローエンド(50Hz以下)/ハイエンド(10kHz以上)に偏り、音に芯がなくならないようにする。ドンシャリ傾向のサウンドにしない。
2. ハイハット、シンバル、ボーカルの子音など、高域のピークを抑える。
3. 楽器、ボーカルの輪郭がはっきり聴こえるように。音像の大きなミックス。
4. キックとベースの帯域のかぶりに注意。低域のピークがないか注意。
5. ステレオ成分を使い過ぎない。
6. 客観的に聴いてみる。


★1. ローエンド(50Hz以下)/ハイエンド(10kHz以上)
使い過ぎると、ラジカセやPCのスピーカーのような再生レンジの狭いシステムで低域に厚みのないシャカシャカしたサウンドになります。これらのシステムでも音のバランスよく再生するには100Hz〜10kHzの範囲内で基本的な音作りをしましょう。例えば音の芯はキック120Hz、スネア、ボーカル1.0kHz、シンバル4kHzなど。皆さんが思っている以上に低い周波数に存在するのです。

★2. 高域のピーク
一瞬でもあるとレベルが稼げません。例えば、ボーカルのピークの処理をしていない場合、サビで声を張った瞬間にディストーションギターやシンセが大きめの音量で入ってくるとビリつくことがあります。ボーカルの子音を抑えるにはディエッサーが有効ですが抜けが悪くなる場合はEQで補正します。Qを広めにし高域を少し上げて抜けを良くしてから、ピークのある帯域(6kHz〜15kHz)をノッチフィルターで下げて耳につく子音の成分のみを抑えましょう。

★3. 音像の大きなミックス
録音は良く出来ているのに輪郭がはっきりせず音像が小さい場合、過剰にコンプをかけている可能性があります。コンプのアタックタイムが早すぎると大事なアタック音を潰してしまい輪郭の無いサウンドになります。対策はアタックタイムを遅くしてアタック成分にコンプがかからないようにする。またレシオを強め(2.0:1、4.0:1)でスレッショルドを緩めのセッティングの方が厚みのあるサウンドになります。

★4. 低域のピーク
低域のピークがあるとリズムがはっきり聴こえずボーカルの抜けやウワモノの抜けも悪くなります。特にベースに注意してください。特定の音域がキックやシンセ、ストリングスの低域成分とぶつかり思わぬピークを生じることがあります。フェーダー操作で聴感上のレベルをコントロールするか、ほんの少しピークを抑える程度のコンプをかけることで対策しましょう。EQの使いこなしのポイントはキックとベースそれぞれで同じ帯域をブーストしないようにすること。例えば120Hzでキックのアタックを強調したら、ベースは60Hzでボリューム感を出しアタックは250Hzで出す、など。

★5. ステレオ成分を使い過ぎない
パンを左右に思いっきり振ったシンセやディストーションギターは音量を入れたときに歪みやすい傾向があります。特に歪みやすいのはソロギターやエンディングのギターの打ちっぱなしの瞬間です。ベースの音とかぶったり、ニュアンスを付けて音をチョーキングした場合はピークが発生し歪みにつながります。それぞれの楽器が重ならないよう定位を変えたり、ボリュームレベルを調整することで対策出来ます。

★6. ミキシングで仕上がったサウンドを客観的に聴いてみる
音量レベルを下げても演奏や歌詞がはっきりと聴こえるか。ニアフィールドモニターだけでなくヘッドホンやラジカセ、PCのスピーカーでもチェックしてみてください。ピークがあるからコンプをかけるのではなくまずはオケと歌のフェーダーバランスを細かく微調整から。次にEQで帯域の補正、最後にコンプの調整をすれば楽器の鳴りの良いダイナミックスあるサウンドに仕上がります。


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