Saidera Mastering Blog

CDマスタリング、DSDレコーディング、ハイレゾ配信&ストリーミング。 サイデラ・マスタリングは、常に最新のテクノロジーとワークフローにより「伝わる音」の技術を提供します。

[]やなぎなぎ/ビードロ模様


TVアニメ「あの夏で待ってる」エンディングテーマ
「やなぎなぎ/ビードロ模様
2012.2.29(WED)リリース!
GNCA-0236
ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
¥1260
1.ビードロ模様
作詞:やなぎなぎ / 作曲:中沢伴行(I've sound) / 編曲:中沢伴行尾崎武士(I've sound)
2.concent
作詞・作曲:やなぎなぎ / 編曲:飛内将大(agehasprings)
3.ビードロ模様(instrumental)
4.concent(instrumental)


チーフ・エンジニアの森崎です。
2月29日発売のやなぎなぎさんのニューシングル「ビードロ模様」のマスタリングをやらせていただきました。

事前に音確認
ビードロ模様」の参考音源(ミックスマスターWAVES L2でマキシマイズしたもの)を事前に送っていただいたので今作のサウンドのキャラクター、音圧レベルなどを確認することができました。言葉では伝え難いニュアンスも音源があると共有しやすく、よりイメージに近いサウンドに仕上げることができます。
オリジナルのミックスマスターはヘッドルームが充分にありバランスがよく、自然な素晴らしい仕上がりでした。このような音源からのマスタリングでは、音圧をギリギリまで入れる。あるいは出来る限り奥行き・広がりを大切に。などあらゆる方向性に選択肢が拡がります。

やなぎさんのリクエスト
まず最初にやなぎさんと一緒に参考音源を聴きながらサウンドの方向性を決めます。リクエストは3つ。
「声の透明感を引き出して欲しい」
「もう少しだけ広がりが欲しい(サビでパッと広がる感じ)」
「ある程度の音圧も欲しい」

いつもならDSDデータにアップコンバートしてのマスタリング作業ですが、今作は音圧レベルが必要なことと、TVアニメ「あの夏で待ってる」のエンディングテーマということもありテレビのスピーカーでも前に張り出してくる音に仕上げるため、PCMで作業しました。

音作りの土台は機材とケーブルの選択で
テレビやラジカセなど小さなシステムでも聴感上大きく聴かせるには、音量レベルの大きさではなく楽器の輪郭がハッキリした芯のある音に仕上げることが大切です。そのために音源の送り出しに使うPro Tools用Mac電源ケーブルをアレグロケーブルに交換。こうすることでボーカル、キック、スネアなどセンター成分の楽器の音像を大きく表現することが可能になります。AD/DAコンバーターはタイトで中低域に厚みのあるPrismSound ADA-8を使用。声の透明感を引き出すためにアナログコンプのPrismSound MLA-2をスルーで通してシルキーな倍音をプラス。ADA-8からMLA-2へのアナログラインケーブルはアクロテック8Nケーブルで輪郭を強調。

各機材の入力レベルの微調整
バランス、ニュアンスの調整はEQとアナログコンプ、DAコンバーター、ADコンバーターの入力レベルの微調整で行います。アナログ段を持った機材は入力レベルでサウンドのニュアンスが微妙に変化するからです。適正レベルではフラットなまま。入力レベルを上げて機材をドライブさせるとハーモニック・ディストーションが生じ透明感、艶がプラスされます。このさじ加減で歌の質感をコントロールしました。

デジタルEQでバランスの調整
最後にt.c.electronic System 6000のEQでリズム、ボーカルの芯を強調しつつ、低域のバランスを調整します。具体的にはボーカルには320Hz、600Hz、1kHz、2.5kHz、6kHz、16kHz辺を低域は26Hz、63Hz、120Hz、180Hz辺りをコントロールしました。一つのEQで処理すると目的としている楽器以外の帯域がブースト、カットされてしまうため複数のEQで処理しています。やなぎさんはとても耳が良く、EQの音決めはとてもスムーズに行うことができました。

※あくまで僕の考えですが「周波数帯域と音の特徴」
超低域(32Hz以下)→低域のエアー感、部屋鳴り
低域(32Hz〜125Hz)→低域の量感、太さ
中低域(125Hz〜250Hz)→低域の厚み
中域(250Hz〜1kHz)→ボリューム感
中高域(1kHz〜4kHz)→高域の厚み、音の芯を出す
高域(4kHz〜16kHz)→輝き、艶、透明感
超高域(16kHz以上)→高域のエアー感


マスタリング済みの音源はやなぎさんのHPでも試聴することができます。
http://yanaginagi.net/
アナログ機材とケーブルで仕上げた透明感のあるボーカル、暖かく抜けのいいトラックはぜひCDで聴いてください。特にサビでもつぶれずに伸びやかなやなぎさんのボーカルは必聴です!


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