Saidera Mastering Blog

CDマスタリング、DSDレコーディング、ハイレゾ配信&ストリーミング。 サイデラ・マスタリングは、常に最新のテクノロジーとワークフローにより「伝わる音」の技術を提供します。

[]ある日のマスタリング風景(その2)「まずはPCMでマスタリング」


ある日のマスタリング風景(その1)「イントロダクション」からつづき

<まずはPCMでマスタリング>
森崎:今日は二つの再生方法、Pro Toolsからの再生とPCMデータをDSDデータにアップコンバートしてKORGのMR-2000Sで再生する2通りを試してみます。
Aさん:DSDマスタリングについてはサイデラ・マスタリングブログを見ていたのでぜひ体験したいと思っていました。
森崎:アンビエント系のサウンドなのでDSDも合うはずと僕は予測しています。DSDデータにアップコンバートしている間にまずはPro ToolsのPCMプレイバックでマスタリングしていきます!

森崎:それでは実際にマスタリングの機材を通してマスタリング前後の音の比較をしていきます。まずはPro Toolsでのプレイバックです。機材はPro Tools 10→RMEHDSeP AES→Prism Sound ADA-8(DAコンバーター)→Prism Sound MLA-2(アナログコンプ)→TC ELECTRONIC SYSTEM6000(デジタルEQ、リミッター)→dB TECHNOLOGIES 3000S(ディザー)→SONIC STUDIO soundBladeというルーティングです。
Aさん:マスタリング後はインパクトがぜんぜん違いますね!音が前に飛び出してくる感じがします。レベルは上げているんですか?
森崎:オリジナルの音源から1dB上げています。
Aさん:それだけなんですね。実際には1dB以上に大きく感じます。
森崎:アンビエント系の音楽は断続的な音が多いので、レベルを入れ過ぎてしまうと音が歪みやすいので無理にレベルは入れていません。
Aさん:音のうねりがよく見えますね。この感じをずっと再現したかったんです。

森崎:そうですよね!Aさんの音は流石です。この感じ、とてもいいと思います。基本的な音作りはコンプを使わずに細かくEQを施してみました。コンプをかけてしまうとサウンド全体に枠ができてしまい、こじんまり聴こえてしまうので。
Aさん:ミックスする時はピークを抑えるためにコンプをかけているのですが、かけない方が良いですか?
森崎:ピークを抑えるための適度なコンプならかけてある方が良いです。ただしミックスの段階でコンプをかけ過ぎてしまうとマスタリングで広がりや空気感を出すことが難しくなってしまうので、よく注意してください。

森崎:それでは空気感を微調整するためにアナログEQも加えてみます。DANGEROUS MUSICのBAX EQはローカット/ローのシェルビング/ハイのシェルビング/ハイカットのコントロールしか無いとてもシンプルなEQです。4.5kHzから0.5dBだけシェルビングで上げてみます。
Aさん:艶と空気感がありますね。さらに分かりやすくなりました。ラジカセではどう聴こえますか?
森崎:ラジカセに切り替えてみます。
Aさん:ラジカセでも音のうねりがはっきり聴き取れますね。
森崎:EQの有無ではどちらの音色が好みですか?
Aさん:EQ有りですね!
森崎:このように聴き比べながら曲に必要なキャラクターかそうではないかを確認していきます。今度は別のEQセッティングを試してみます。こちらはどうでしょう?

(その3)につづく...


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