[]文章から音が聞こえてきます

ライブレコーディング・エンジニアの西沢です。



『録音集』ってご存知ですか? これは名録音のコンピレーション・アルバムなどではなく、音そのものや音にまつわる考えが書かれた本(著:豊島与志雄)なんです。雨風や足音、汽車といった様々な音に関する描写は、今にも音が聞こえてきそうなほど。今でも時々読み返す好きな一冊(豊島与志雄著作集 第六巻/未来社)です。

雨戸を閉める音をきいていると、その人の日常の挙措動作や暮し方から、気立や性質までが想像される。(青空文庫より引用)

さて、私は10年以上生まれ故郷を離れて暮らしているわけですが、音について少なからず敏感になった理由として「実家の環境」があるのではと、『録音集』を開く度に思うんです。その環境というのは、「空間(視覚)としては仕切られるが音(聴覚)はほとんど仕切られない(筒抜け)という特徴をもった間仕切り」=「障子」のことです――

鉄筋コンクリート造のマンションでは、遮音性に優れた壁とドアによって部屋が仕切られていますよね。でも、木造家屋の障子だとそうはいきません。障子を閉めても、隣り合った部屋同士で音はほとんど筒抜け状態。しかし、“障子が閉まっている時は聞こえていないことにする” という暗黙の了解があるんです。そしてまた、お互いにうるさくならないよう配慮しながら暮らす癖も身につきます。

隣室の私語はひどく神経を刺戟するものであるが、それよりも、襖一重の隣室で、ペンの音を立て、原稿紙の音をさせるのは、更に神経を刺戟するものだとは、某氏の言である。(青空文庫より引用)

―― こうした、障子を隔てて音を “やりとり” する日常が、音の表情を感じ取る感覚を養ってくれたのかも知れません。『録音集』は青空文庫にも収録されています。10分もあれば読めますよ!

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