[]再生側で調整する
チーフ・エンジニアの森崎です。
マスタリングの基本は素材の情報を最大限に引き出すことです。
最近ではプロツールスなどDAWで再生することが多いと思いますが、
その高性能なプラグインを使わない手はありません。
アナログテープのマスターはテレコで録音時、再生時に、低域、レベル、高域の調整を行ないます。
最近では使うことは減りましたがそのノウハウはデジタルでも応用出来ることが沢山あります。
例えば、コンピレーションなどの場合は携わったエンジニアの方によって、
録音レベルが違います。
ギリギリまでレベルが入れてあったり、ヘッドルームが十分であったり。
これらの素材の送り出しのレベルを一定にするよりも、
フェーダーできちんとレベルマッチングをとって送り出したほうが、
(聴感上で音量感を統一する)
その後のDAコンバーター以降の機材に適正レベルで信号を入力することが出来ます。
また、音源を最初に聴いた時にもう少し低域を削ったり、高域を伸ばしたほうが、
素材の良さを引き出せると思う時には、ほんの0.3dB以内の補正をすることで、
レコーディングエンジニアが実際にスタジオで聴いていた時の音の鮮度を引き出すことが出来ます。
これは機材や、モニターシステムのわずかな差で生じることですが、
最初にきちんと処理することで後になって音楽的に大きな違いを生じます。
このとき注意することはプラグインはインサートしただけでサウンドにキャラクターが付くことです。
例えば、プロツールスのオックスフォードEQなどは(どのメーカーでも同様です)、
フィルターのみ、EQのみ、フィルター+EQで音が全く違います。
このキャラクターを上手に使うと、
EQをプラス、マイナスすること無く音楽的に良いサウンドを引き出すことが可能です。