[]デジタル機器の基準レベルについて
チーフ・エンジニアの森崎です。
本日はデジタル機器の基準レベルについてお話しします。
レコーディング・スタジオにおいてデジタル機器の基準レベルは-16dBFS=0VUが一般的です。オシレーターから-16dBの基準信号(正弦波)を出しVUメーターが0を指すレベルが0VU。デジタル機器ではその基準信号を入力しピークメーターが-16dBを示すように調整しています。
デジタル機器の基準レベルは世界各国によって規定があります。基本的には0dBFSより20dB低いレベルポイントが基準(SMTPE、NAB)になっていますがこの基準レベルはダイナミックレンジの広いクラシックなどの録音を想定した値なので、実際には音楽のジャンルや録音フォーマットの違いにより-18dBFS、-16dBFS、-12dBFSなどの基準レベルを選択しています。
※dBFS
デジタル信号の大きさの単位。FSは「フルスケール」の事でデジタルで表現可能な最大値(フルビット)を指す。 デジタルの最大値を0dBFSとして信号の大きさをdB(デシベル)で表したもの。
それに対しアナログ機器は+4dB=0VUが標準です。アナログは皆さんご存知の通り0dBを越えても急激には歪まず+6dBくらいから緩やかに歪みが増えていくのですが、デジタルでは0dBを越えると急に歪む(クリップしてしまう)わけです。前者はハーモニックディストーション、サチュレーションなど音楽的に歪むのに対し、後者は電気的な歪み(クリップ)が生じるためこれ以上のレベルでは録音不可能となってしまいます。
デジタル機器で録音する際に瞬間的なピークでも歪まないようヘッドルームまでに16dB分の余裕があるということが-16dB=0VUという基準の意味です。
P.S.
KORGのMR2000Sではアナログ入出力レベルがリファレンスレベルによりつじつまが合うように設計されています。例えば-16dB=0VUの入出力を基準にすると、リファレンスレベル-18dBなら再生レベルが2dB上がります。逆に-14dBでは再生レベルは-2dB下がります。録音、再生の音量を合わせるには、リファレンスレベルの設定を「録音時のリファレンスレベル=再生時のリファレンスレベル」にして下さい。
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